今日は「責任」について考えてみます

責任といえば、頭に浮かぶのは"responsibility"いわゆる責任と"accountability"いわゆる説明責任です。

前者は「何かをする」または「何かに対する」、即ち行動や物に対する自らの責任のことで、もしその行動や物が不適切であれば責を負います。後者は、自分の意思決定したことや行動したことについて、相手に対して責任を持ち、かつ相手に求められたときには説明することが望まれる責任です。もちろん説明に妥当性がなければ、それなりの責を追うことになります。一般的には、意思決定に対する責任がからみ、相手が明確に存在する"accountability"のほうが、より重大であると考えられます。

今日は、組織の中でやりとりされる"responsibility"について考えてみます。「責任」と権限は、組織の活性化やコミュニケーションなど、組織活動において重要な要素です。

この図をご覧ください。

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このピラミッドを貫く矢印は、コミュニケーションの流れを示していますが、同時に「責任」と権限、管理と報告の流れでもあります。

「責任」と権限のスタート地点、それは経営者です。現場にGMP遵守の「責任」と権限を与えていても、GMP違反があれば、FDAはWarning letterを経営者に直接送ります。なぜそうなるのか?

実は、責任には"reserved responsibility(留保責任)"と"delegated responsibility(委譲責任)"があります。わかりやすくするために、場面を管理職と一般職員の関係に移しましょう。

管理職は一般職員に、自分の「責任」を権限とともに委譲して、一般職員に自分の責任を代わってもらいます。そして、一般職員はその責任を委譲された権限によって、自分の仕事として実行します。この一般職員の責任を、委譲責任(delegated responsibility)と呼びます。

しかし、管理職にも責任は残ります。「一般職員に責任と権限を与えて一任したんだから、私には責任はない」とは言えません。そういうことを言おうものなら、無責任な管理職と思われてしまいます。責任は放棄できません。

管理職には、経営陣(管理職の上司)から与えられた「委譲責任」が、残っています。即ち、経営陣から与えられた「責任」を仕事として実行するのは、経営陣から見れば一般職員ではなく、管理職なのです。

管理職は、経営陣に対して仕事をするという義務を負っています。したがって、仕事をしました(責任を果しました)ということを、経営陣に報告する責任があります。このように、管理職が自らの立場において行なわなければならない「責任」を留保責任(reserved responsibility)と呼びます。

管理職の「責任」は、経営陣に対しては報告であり、一般職員に対しては委譲責任が予定通り遂行されるように管理することです。 管理職は、一般職員に「責任」を委譲しても管理するという責任が残ります。一般職員から「責任」遂行の報告を受けて、自分の「責任」が全うされたことを確認し、経営陣に「責任」遂行の報告をするわけです。

さて、今日のテーマから言いたいことは?

もちろん全ての責任は経営者にありますが、組織を支えるのは管理職です。管理職はハードな仕事です。管理職は、部下をリードすることが仕事になりますので、リーダシップを発揮する必要があります。

そして同時に、管理職は経営陣の部下であり、経営陣の委譲責任を全うするために、経営陣をフォローすることも仕事になります。

そのため、リーダシップの発揮と同時にフォロアーシップの発揮も必要になるわけです。 管理職は、組織の上部と下部をつなぎ、かつ部門間の水平的つながりも維持しなければなりません。いわば、コミュニケーションという神経システムのシナプスの役目をする「コミュニケーションセンター」ということになるわけです。