ジェネリック・スキャンダルとデータインテグリティ
欧米当局の査察で顕著に見られるトレンドは、「データインテグリティの問題」の急増です。この状況を懸念して、FDAは医薬品製造業者の監査者に対しても、供給業者の監査でデータインテグリティの問題のレビューを期待しています。
品質保証部門に所属するGMP監査員にとっての課題は、「どのようにデータインテグリティの問題をレビューするのか」ということです。
具体的なことは、FDAの警告書、内部文書、業界向けガイダンス、さらにMHRA、WHO、PIC/S のガイダンスが部分的に触れています。これらは、別の機会にまとめるつもりですので、ここではスキップします。
データインテグリティは最近のトレンドですが、決して新しい問題ではありません。そのことは、いろいろな人が言っており、データインテグリティを話すときの枕詞になっています。
データインテグリティの問題の発端は、米国で起きたジェネリック・ドラッグ・スキャンダルです。米国では、1980年代後半に数社がジェネリック医薬品の不正や汚職で有罪となった事件を称して、ジェネリック・ドラッグ・スキャンダルと言っています。
賄賂、改ざん、サンプルすり替えなどで、何社かのジェネリック医薬品会社の経営陣が起訴されました。
このことが、新たな法律の制定や改正、内部文書の改訂につながりました。
このジェネリック・ドラッグ・スキャンダルは、ジェネリック医薬品の承認やFDAの歴史の中で、必ず語られる大きな問題です。(このスキャンダルの概略は“The New York TimesのOPINION”を参照してください:http://www.nytimes.com/1989/10/02/opinion/the-generic-drug-scandal.html)
現在、米国のOTCやジェネリック医薬品の原薬の約40%がインドから来ていると言われています。そして、データインテグリティの問題がクローズアップされてきました。歴史は繰り返すのでしょうか?