EUGMP Ch.5:2013年7月改定予定の内容

改定の趣旨

セクション17-20で、交叉汚染防止のガイダンスに毒物学的な評価を参照した。セクション26-28でAPIがGMPに従って製造されたことを保証するための法的義務として供給業者の適格性の確認を追加した。サプライヤーチェーンの追跡性も追加した。セクション66で供給における制限の通知のガイダンスを紹介したので、出発原料の試験に関する件を明確にするために、セクション33を新規に加えた。以下変更のあったセクションについて記載します。(セクションの番号はドラフト(改訂版)の方を採用しました)

5.17 一部追加

  • 通常、非医薬品の製造は、医薬品の製造に使う区域と装置を避けるべきであるが、以下に述べる医薬品の交叉汚染を防ぐ方法で、Chapter 3が適用できれば、例外的状況は許される。
  • 殺虫剤や除草剤のような技術上毒物の製造は、医薬品の製造に用いる施設では許されない。

5.18一部削除、一部追加

  • 他のマテリアルや製品による出発原料または製品の汚染を避けなければならない。
  • 偶発的な交差汚染のリスクは、工程内の製品、装置の残留物、作業着からの発塵、ガス、蒸気、噴出、微生物の管理不十分で起きる。
  • このリスクの重大性は、汚染のタイプ、汚染した製品のタイプによってさまざまである。
  • 製品の汚染が最も重大であるのは、大量投与や長期投与の注射剤である。
  • 製造施設内の施設、装置、工程の堅牢な設計によって、交叉汚染を回避すべきある。
  •  (この設計による回避は)効果がバリデートされた再現性のあるクリーニングと除染を含む、適切な手順と技術的または組織的な手段によってサポートされるべきである。

5.19 追加セクション

  • 毒物学的評価は、製造された製品に関する閾値の設定の基礎とすべきである。(共有施設における暴露限界のガイダンス参照)
  • 毒物学的評価が閾値をサポートする場合、リスクアセスメントでインプットパラメータとして用いるべきである。
  • QRMのアプローチは、この毒物学的評価と製造された製品の潜在的な交叉汚染リスクのもとに用いられるべきである。
  • 製品の閾値に関するファクター(施設/装置の設計、人の動線、有効成分の物理化学的特性、工程の性質、クリーニングプロセス、分析能力)も考慮すべきである。
  • QRMプロセスの結果は、特定の製品又は製品群に対して専用とすべき装置と施設の必要性と範囲を決定するもとにすべきである。
  • 特定の製品接触部品の専用化から全体の製造施設の専用化までが範囲となる。
  • それが正当であれば、マルチプロダクト施設内の自己封じ込め製造区域で製造活動を隔離することも受け入れられる。

5.20 旧5.19の大幅な変更

  • 交叉汚染のリスクを低減する技術的および組織的方法は、この限りでないが、以下のことが含まれる:

技術的手段

  • -専用施設
  • -製造装置とHVACシステムを分離した自己封じ込め製造区域((“..)φ:self contained production areaをこのように訳しました)。他の区域で使われているユーティリティの分離も望ましい。
  • -製造、メンテナンス、クリーニング中の交叉汚染の機会を最小限にするための製造工程、施設および装置の設計
  • -工程および装置間の原料/製品の移動に「閉鎖システム」を使用
  • -アイソレータなど、封じ込め手段として物理的なバリアシステムの使用
  • -例えば局所排出などで、汚染源に近いダストの除去管理
  • -専用の工程装置、専用の製品接触部品またはクリーニングしにくい専用の選定部品(例えばフィルター)、専用のメンテナンスツール
  • -ディスポーザブル技術の使用
  • -クリーニングが容易な設計の装置の使用
  • -特定区域の空中汚染物質を制御するためのエアーロックや圧力カスケード((“..)φ:圧力を段階的に設定する)の適切な利用
  • -未処理または不適切に処理したエアーの循環または再供給によって引き起こされる汚染リスクを最小限にする
  • -効果をバリデートした自動定置洗浄システムの使用
  • -一般洗浄区域では、装置の洗浄、乾燥、保管区域の分離

組織的手段

  • -製造施設全体の専用化、またはキャンペーン製造後にバリデートされたクリーニングを行う自己封じ込め製造区域
  • -交叉汚染のリスクが高い製品を製造する区域内で保護衣を着用する
  • -クリーニングバリデーションの替わりにおこなう各製品のキャンペーン後のクリーニングのベリフィケーションは、QRMアプローチの効果をサポートする((“..)φ;残留物)検出のツールとみなされる
  • -重要表面の包括的なサンプリングプロトコル実施後の作業区域と表面のクリーニング
  • -空中および機械的に拡散した汚染物質の低減手段の効果を証明するための、作業区域外の隣接区域でエアーサンプラーやワイプ/スワブを用いたサンプリング
  • -廃棄物の取り扱い、汚染した洗浄水、汚れたガウンに対する特定の手段
  • -流出(spills)、偶発事象(accidental events)、手順からの逸脱を記録する
  • -クリーニングプロセス自体が交叉汚染リスクとならないような製造装置と建物施設のクリーニングプロセスの計画(Design)
  • -承認済み手順に従ったクリーニングの完了と装置及び製造区域のクリーニング状態表示ラベルの使用を保証するためのクリーニングプロセスに関する詳細な記録の計画
  • -共通の一般洗浄区域のキャンペーンベースでの使用
  • -訓練の効果と関連手順管理の順守を保証するための作業態度のモニタリング

5.26 旧5.25の全面書き換え

  •  出発原料の供給業者の選定、適格性評価、承認、維持(maintenance)は、購買と受入とともに、医薬品品質システム(PQS)の一部として文書化すべきである。
  •  監督のレベルは、由来、製造工程、サプライチェーンの複雑性、どの医薬品に最終的に使用するか(剤型)を考慮して、個々の原料のリスクに釣り合ったものにすべきである。
  • 個別の供給業者/原料の承認を裏付ける証拠を維持(保管)すること。
  • これらの作業にかかわる職員は、現在の供給業者、サプライチェーン、関連するリスクの知識を有するべきである。
  • 可能なら、出発原料はその製造業者から直接購入すべきである。
  • 出発原料の製造業者が設定した品質要件は、供給業者と議論して同意されているべきである。
  • 製造、管理(取扱い、表示、包装、出荷配送の要件を含む)、苦情、回収及び棄却(不合格判定)手順について、品質契約または規格に記載すべきである。

5.27 旧5.26の全面書き換え

  • 有効成分(Active substances)および添加剤(excipients)の供給業者の承認と維持管理は次のことが求められる:

有効成分

  • サプライチェーンの追跡性を確立し、有効成分出発物質から医薬品までの関連リスクを正式に査定し、かつ定期的に確認(verified)すべきである。
  • 有効成分の品質へのリスクを低減するための適切な方法を導入すべきである。
  • 個別の有効成分(有効成分出発物質)サプライチェーンと追跡性の記録は、医薬品のEEA((“..)φ;欧州経済圏)ベースの製造業者または輸入業者によって保管され、利用可能とすべきである。
  • GMP及びGDPの要件を遵守していることを確認するため、有効成分の製造業者および配給業者(distributors)の監査を実施すべきである。
  • 製造許可の所有者は、自身または契約の下で代わりに活動する団体を通して、その遵守を確認すること。
  • 動物薬の場合、監査はリスクに基づいて実施すべきである。
  • 監査はGMPの査定が全て明らかに行えるように適切な期間と範囲とすべきである。GMPの査定には、その場所の他のマテリアルとの交叉汚染の可能性を考慮すべきである。
  • 報告書はすべての欠陥を明らかに識別して、監査で何をして何を観たか、すべてを反映すべきである。
  • その後の監査は水準の維持と承認されたサプライチェーンの継続的な使用を保証するために、品質リスクマネジメントプロセスによって定めた間隔で実施すべきである。

添加剤

  • 添加剤は正式な品質リスクマネジメントをもとに、医薬品の品質に特にリスクをもたらすものを考慮して、有効成分と同様の注意を払うべきである。

5.28 旧5.27の一部追加

  • 出発原料は入荷ごとに、関連する開封明示シールを含む包装の完全性ついて、また入荷伝票(note)との一致や、供給業者のラベル、医薬品製造業者によって保管された承認済み供給業者の情報について、その容器をチェックすべきである。
  • 各入荷の受取チェックは文書化するべきである。

5.33 新規追加セクション

  • 最終製品の製造業者は、販売許可証に記載されている通り、出発原料の全ての試験に対して責任を有する。
  • Ÿ承認済み出発原料製造業者からの一部または全ての試験結果を利用することができるが、最低限Annex8に基づいて各バッチの確認試験を自ら実施しなければならない。
  • この試験の外部利用の根拠は、正当化して文書化し、次の要件を遂行すべきである。

a)

  • 最終製品製造業者と出発原料製造業者はChapter 7に従って、正式な取り決めに署名すべきである。
  • 出発原料の品質特性を維持するため、そして試験結果が配送された原料に適用できることを確認するために、正式な契約書に記載された個々の責任で共同して、配送条件(輸送、卸売、保管、配送)に関して特別な注意を払うべきである。

b)

  • GMPの遵守と販売許可書に記載された規格と試験法の遵守を保証するために、最終製品の製造業者は適切な間隔で出発原料の試験(サンプリングも含む)を実施する場所の監査を実施すべきである。

c)

  • 出発原料の製造業者の分析証明書は、適切な適格性と経験を有する指定された職員が署名すべきである。
  • この人は、正式な契約書の要件通りに各バッチが製造されたことをチェックして保証すべきである。

d)

  • 最終製品の製造業者は自社での試験を減らす前に、出発原料の製造業者との十分(significant)な取引の経験を有するべきである。これには、以前に受け入れたバッチの評価と遵守の履歴も含まれる。
  • 製造または試験プロセスの重要な変更は、全て考慮すべきである。

e)

  • 供給業者の分析証明書の信頼性をチェックするために、最終製品の製造業者も適切な間隔ですべての分析を実施して、供給業者の分析証明書の結果と比較すべきである。
  • この試験で欠陥が確認されたら、調査を実施して、適切な手段を講じるべきである。
  • 供給業者からの分析証明書の受入((“..)φ;信頼すること)は、これらの手段が完了するまで中止すべきである。

注記:

  • 1.  GMP part I, 5.41に記述された包材にも、同様のアプローチを適用すべきである。
  • 2. 出発原料の確認試験は、販売許可書の方法と規格に従って実施すべきである。

5.68 新規追加セクション

  • 医薬品の販売許可所有者は、自社の責任限度内で、薬局と許可された医薬品供給業者に対して適切かつ継続的に医薬品の供給を保証すべきである。
  • Ÿ 医薬品の供給に異常な制限をきたす製造作業の制約がある場合、販売許可所有者は適宜情報を提供すべきである。
  • Ÿ もし製品が加盟国で一時的あるいは永久に販売中止となる場合、所有者は当局にも届け出るべきである。
  • Ÿ そのような届出は特別な事情がない限り、製品の市販に支障が生じる2ヶ月前までに行うこと。