FDA Warning letter(320-20-13):API(インド):品質監督
年末年始に多くの警告状が出ています。CDERからは5通です。その他、Office of Pharmaceutical Qualityからも出ています。今回は、品質監督の指摘について紹介します。
今回の対象会社は、インドのAPI製造施設です。
指摘は、1)品質監督; 2)装置の洗浄; 3)データインテグリティに関する3項目です。
—————————————————-
WL#: 320-20-13
日付: 2019年12月17日
発行オフィス: CDER
対象会社: GPT Pharmaceuticals Private Ltd
対象品: API
査察期間:2019年6月24日~28日
回答受理日:2019年7月17日
GMP違反:3項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/gpt-pharmaceuticals-private-ltd-590938-12172019
—————————————————-
<指摘事項の解説>
1.品質部門は医薬品の品質を保証する責任を果たしていない(211CFR22)。
査察官は、この会社のバルクの製造を品質部門が適切に監督していなかったことを観察した。
(“..)φ:普通に、品質監督がダイレクトに指摘事項に記述されるようになってきました。この2年間、指摘事項のトップに返り咲き、かつ指摘数が急増したセクションです。これからのトレンドかな?日本でも品質部門が製造領域に行って、製造手順が守られているかなど、現場での監督活動が望まれる時期に入ってきました。常駐する必要はありません、というか、そのようなGMPの直接要件はありません。ただし、ACT(GMPの上位の法)でGMPの定義の中に「リスク」と「品質監督」が追記されて久しいので、米国では業界標準と考えて良いでしょう。
閑話休題
査察中に査察官が監督した「品質監督」の不備を、以下の3項目を証拠に指摘しています。
(“..)φ:3項目が適切に品質監督されていなかったという意味で文章が書かれています。
●残留溶媒のOOS試験結果が適切に調査されたこと。
●分析および不純物の試験方法がバリデートされたこと。
●文書管理を含めて、適切な記録および報告の文書化が実施されていること。
この会社は、供給業者からAPIを受け取って、○に加工しています。品質部門は、〔受け取った〕APIバッチの残留溶媒のOOS結果を適切に調査しませんでした。再試験を行って、合格の結果を得て、製造工程へ出荷しています。
しかし、ここにはオリジナルのOOS結果を無効にする科学的な正当性〔(“..)φ:211.160〕はありませんでした。
(“..)φ:この文章(原文)で注意してほしいことは、品質部門が調査するように読めることです。GMP要件は、厳密には品質部門(QA)の責任は「調査を承認すること」、すなわち品質監督を述べています。QAに対して、調査を実際に実施することは求めていないので、GMP解釈時に注意が必要です。QAは業界標準で、調査のコーディネーターになっています。そうですよね、最終的に承認するのはQAですので、進捗を見届けておかなければなりませんよね。これが、調査を実施しているように誤解するもとかもしれませんね(久しぶりなので、WLをちょっと念入りに読み込み過ぎかな?)。
またまた閑話休題
回答書は、オリジナルのOOS結果を無効にした理由や調査の適切な結果を述べていないため、不十分とされています。そのため、FDAは包括的な評価および是正の計画を提出するよう要求しています。
ここで、OOSへの対応方法について、以下の6項目をCAPAの計画の中に含めるべきであると述べています。
●試験室の調査に関する品質部門の監督(品質監督)
●試験室管理の思わしくない傾向を特定する
●試験室の変動(ばらつき)の原因を解決する
●試験室の原因(ラボエラー)が特定できない場合は、製造の原因の可能性の徹底的な調査を開始する
●各調査とそのCAPAの適切な範囲を決定する
●上記とその他の改善を含むOOS調査手順の改訂
M(_ _)m今日は解説が長くなりました。