FDA Warning Letter(CMS 587592):製剤(アメリカ):安定性とOOS

クリスマスになので活動が低下するかな?今日は、オンゴーイングの安定性に関する指摘事項について、OOS試験結果の調査との絡みで紹介します。

今回紹介するWarning letterは、以下のものです。

WL#: CMS 587592
日付: 2019年12月10日
発行オフィス: New Jersey District
対象会社: Teligent Pharma, Inc.(アメリカ)
対象品: 製剤
査察期間:2019年4月22日~5月20日
回答受理日:2019年6月4日付
GMP違反:3項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/teligent-pharma-inc-587592-11262019

アメリカの製剤製造施設です。指摘事項は、1)OOS調査; 2)試験手順の順守; 3)苦情処理に関する3項目です。

今回は、オンゴーイング安定性試験とOOS処理手順について焦点をあてました。

この警告書には3項目の指摘事項が記述されています。そのうちの2項目に、オンゴーイングの安定性試験に係ることが出ていました。そこをまとめてみたいと思います。

指摘#1では、OOS調査のことが指摘されています。GMPの条文では、21 CFR 211.192にあたります。

ここにはAとBの2つの観察事項が記載されています。

プロピオン酸クロベタゾールの出荷判定試験で、不純物のOOSが発生しました。オリジナルのサンプルの再試験でもOOSだったのですが、その後の再試験で合格になったので出荷してしまいました。原因は、サンプル調製中に他のサンプルとの相互干渉があったためとしました。これは、根本原因を裏付ける証拠はなく、調査としては不適切でした。

このロットの18ヶ月後の安定性試験っで、未知の不純物が検出され、OOSとなりました。再試験も失敗しました。この再試験の調査で、オリジナルのデータのOOSのピークが検出されなかったとして、疑わしい原因をガラス器具の汚染と決定しました。

順序が逆ですが、このロットは9ヶ月目に試験をしており、そのときにもOOSが出ています。しかし、そのときには調査をしていませんでした。そして、その後の12ヶ月と18ヶ月の安定性試験結果を用いて、このときのOOS試験結果を無効としています。

もう一つは、局方フルランドレノリド軟膏で、24ヶ月目の安定性試験が失敗しました。オリジナルのサンプルを再インジェクションした結果も規格外になりました。しかし、再試験で不純物が検出されなかったと結論づけて、調査を終了しています。

根本原因を特定していないとして、以下の手順に失敗したことをしたためています。

o Conduct hypothesis testing to confirm theoretical root causes.
o Expand the OOS investigation to manufacturing or other potentially affected lots.
o Identify the impurities detected to support your claim that they were not product-related.

・ 理論的な根本原因を確認するために、仮設の試験を実施しなかった。
・ 影響を受けた可能性のある製造や他のロットに対する拡大調査をしなかった。
・ 製品に関連しなかったとする裏付けるとなる不純物の同定をしていない。

ここで参考になる調査の弱みは、1番目と3番目ですね。

指摘事項#2は安定性プログラムです。CGMPのセクションは、211.166 (a)です。

ここでは、安定性の試験は実施したのですが、試験結果は試験後8ヶ月間作成(generate)していませんでした。

どういうことでしょうか?

また、もう1つの例は、月の製品の加速試験です。これも試験後、薬6ヶ月間作成されませんでした。

なぜ?と思いいますよね。

これらの試験は、いずれもOOSが出ていたということです。

後は想像におまかせします。