FDAドラフトガイダンス要旨-分析手順のバリデーション #11

ドラフトガイダンス要旨:Guidance for Industry Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologics, February 2014

(“..)φ:本文の「~べきである」は、原文が“should”で表現されていることを示しています。

A. 再バリデーション

バリデーションのセクション(セクションⅥ)で、再バリデーションへの適用の原則を述べている。  (例えば、装置、試薬の変更または製造工程または処方の変更によって)分析手順を変更する場合、分析手順の全ての部分の再バリデーションを実施すべきである。分析手順の再バリデーションは、分析能力に影響を与える可能性のある原薬の製造工程の修正(例えば、合成経路、発酵)、または医薬品の新規処方の採用など、製造工程の変更によっても必要になるかもしれない。

分析手順がその重要能力特性(例えば、特異性、精度、真度など)を維持していることを保証するために、貴社は再バリデートすべきである。再バリデーションの程度は、変更の性質による。

 

B. 分析法の比較調査

分析法の比較調査は通常、貴社が承認済み分析手順を代替の分析手順に置き換える申請をFDAに提案する場合、または分析手順をある試験室から他の場所に移転する場合に、求められる。

 

1.    代替分析手順

代替分析手順とは、FDA承認の分析手順の代わりに貴社が用いる分析手順のことである。NDA、ANDAでは、貴社は申請書に提案する代替試験手順を含めるべきである。承認後のNDA、ANDA、またはFDAの規則、追補、改訂に含まれていないBLAで承認された手順、または承認申請で記載された分析手順で試験品の本質、力価、品質、純度、有効性に同等またはそれ以上の保証を与える代替分析手順の削除については、次の年次報告書に記述しなければならない。BLAにおける分析手順の追補または改訂は、追加申請(a supplement)の提出が求められるかもしれない。FDAは、適切な報告の範疇を決定するために、適切な審査グループとの話し合いを提案する。

生物製剤の場合、FDA規則に規定された分析手順はほとんどない。その場合(代替分析手順を採用する)、代替分析手順は21CFR610.9(a)に従って提出される。そこに、申請者は「その修正が、生物学製品の安全性、純度、力価、効能について、一般的または追加の標準で規定された方法またはプロセスがもたらす保証と同等もしくはそれ以上であることを証明する」ための証拠を提出することを述べている。そのような手順の修正は、申請書の審査中または承認後の追補で、FDAの承認を必要とする。

貴社は代替分析手順の使用を特定し(例えば、出荷判定、安定性試験)、バリデーションデータおよびFDA承認済み分析手順に対する比較データを含めて、合理的根拠を提示すべきである。貴社は、少なくとも以下のことを証明する比較調査を実施すべきである:

  • 追加の管理法も含めた新たな分析法は、意図する目的に対してオリジナルの方法と同等もしくはそれ以上である。
  • 新たな分析手順は、オリジナルの手順よりもマトリクス効果に影響されにくい。

新たなプロセスまたは製品に関連する異形または新規不純物が、新規手順で検出された場合、新規分析法によって検出された異形/不純物が新規手順の感度または選択性の向上の結果であり、プロセスに関連する不純物の変化の結果ではないことを証明するために、昔のバッチの保管サンプルの試験を実施すべきである。

その手順が安定性の指標となる特性を有する場合:

  • 関連する製品異形および劣化の種類を検出するために、新規とオリジナルの分析法の能力を比較する適切なサンプルを含むべきである。
  • 比較のために分析するバッチ数は、あらかじめ定めた信頼区間に対して統計的に関連性があり、正当化されるべきである。
  • 新規または修正法の能力が、オリジナルの方法と同等または優れていることを証明するために、適切な統計的手法で同等性、非劣性、または優位性の調査を実施すべきである。
  • 製品試験を比較するために実施された統計的分析は、特定されるべきである。
  • 比較の結果で観られる全てのバイアスは、適切に説明されるべきである。

 

2. 分析法の移転の調査

通常、分析法の移転は、所定の合否判定基準に加えて、その結果に適用される評価すべきパラメータを記載した、社内の移管計画書のもとで管理される。移転の調査は、普通、承認済みの移転計画書を実施する2箇所以上の試験室または場所(移転元の試験室と移転先の試験室)を含む。移転元と移転先の試験室によって、十分な数の代表試験品(例えば、原薬または医薬品の同じロット)が使用される。真度および精度の評価のために、特に試験室間の変動について、比較調査を実施する。移転される分析手順が安定性指標試験法(安定性試験法)でもある場合、強制分解サンプルまたは適切な製品関連不純物を含むサンプルを、両サイトで分析すべきである。USP<1224>Transfer of Analytical Proceduresは、この話題の追加的ガイダンスを提供している。

 

C.  NDA、ANDA、BLA承認後変更の報告

分析手順の承認後変更は、21 CFR 314.70 または 21 CFR 601.12に従って、FDAに報告しなければならない。NDAおよびANDAのさまざまな種類の承認後変更について、適切な報告のカテゴリーに関する追加情報は、FDAガイダンス(the FDA guidance for industry on Changes to an Approved NDA or ANDA and Changes to an Approved NDA or ANDA; Specifications – Use of Enforcement Discretion for Compendial Changes)に示している。CDERとCBERが規制するBLAの承認後変更に関する同様の情報は、FDAガイダンス(the FDA guidance Changes to an Approved Application for Specified Biotechnology and Specified Synthetic Biological Products)に示している。