FDA Warning letter(CMS Case # 533923):OTC再包装業者(米国):品質部門;包装表示;回収;安定性試験

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、米国のOTC医薬品再包装施設です。

指摘は、1)品質部門; 2)包装表示; 3)回収; 4)安定性試験に関する4項目です。包装表示ラインでWarning letterの指摘を受けるのは珍しいケースです。

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WL#:CMS Case # 533923
日付:2018年4月18日
発行オフィス: OPQO Division II
対象会社: Phase 4 Pharmaceutical, LLC(米国)
対象品: OTC医薬品(経皮貼付剤)再包装業者
査察期間:2017年4月26日~5月2日
回答受理日:2017年5月22日付
GMP違反:4項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm605283.htm
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<指摘事項の解説>

1. 医薬品の承認や却下の責任を有する品質管理部門(QCU)が確立していなかった。(21 CFR 211.22(a))

この会社は、OTC経皮貼付剤を再包装しています。この再包装作業と、品質部門の責任に関する手順がありませんでした。

2. 正しいラベル、ラベリング、包装資材が使用されるように計画された手順書を作成して実施していなかった。 (21 CFR 211.130(a))

再包装やラベル作業の混同を防止するためのシステムがありませんでした。契約メーカーから受け取った外観が似た異なる製品に、識別のためのラベル表示をしていないので、混同が発生する恐れがあります。

(“..)φ;これは、適用セクションからすると、包装表示作業区域での観察事項と思われます。めずらしく指摘されている例です。

3. 製品の各ロットの配送システムを構築していませんでした。そのため、回収が必要な場合に、どの施設に送ったかを迅速に判断することができません。 (21 CFR 211.150(b))

この会社では、医薬品の出荷配送を記述した手順が欠けていました。出荷した製品のロット番号を記録していないため、回収の時に適切に追跡することができません。

(“..)φ;1941年のフェノバルビタール汚染医薬品の事件がきっかけでGMPがはじまったとも言われています。回収が遅れたために多くの人が被害を被った事件です。GMPの柱とも言うべき領域ですね。それだけにWarning letterでは滅多に指摘されません。これも珍しいケースです。

4. 適切な安定性試験に裏付けられた有効期限の表示を証明していませんでした。 (21 CFR 211.137(a))

ジッパー付きのプラスチックバックにOTC経皮パッチを再包装していますが、そこに有効期間が表示されていませんでした。さらに、この会社の容器施栓系を使用したときの安定性データがありませんでした。

(“..)φ;再包装業者は、自社の容器施栓系での安定性に基づいて有効期間を決定する必要があります。