FDA Warning letter(320-18-28):無菌製剤(韓国):微生物汚染管理(無菌テクニック;スモークスタディ;メディアフィル);苦情調査;環境モニタリング

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、韓国の無菌製剤製造施設です。

査察は2週間にわたっています。指摘は、1)微生物汚染管理(無菌操作テクニック、スモークスタディ、デディアフィル);2)調査;3)環境モニタリングの3項目です。
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WL#: 320-18-28
日付: 2018年1月26日
発行オフィス: CDER
対象会社: Celltrion, Inc.
対象品:無菌製剤
査察期間:2017年5月22日~6月2日
回答受理日:2017年6月22日
GMP違反:3項目
掲載サイト:https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm594395.htm
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<指摘事項の解説>

1.無菌医薬品の微生物汚染を防止するように計画された適切な手順書を確立して守っていない。(21 CFR 211.113(b))

この指摘事項は、大きく3つの項目に分けて、具体的な観察を記述しています。

 

<不適切な無菌操作活動>

○バッチのセットアップと充てんにおいて、不適切な無菌の活動を観察しました。

例えば、バイアルの無菌充てん時に、作業員がRABSで、詰まったストッパーを除去するために、ストッパーボウル内の暴露された無菌ストッパーに手を伸ばしていました。そのため、ストッパーボウルの上方は、一方向流が乱されていたと書かれています。これは、微生物汚染のリスクが発生することになります。

そして、作業員が詰まったストッパーを除去した後、影響を受けたストッパーが不明のままで、再始動したとのことです。

 

<スモークスタディの欠陥>

査察官は、RABSの充てんと○負荷区域のスモークスタディと文書化の欠陥をレビューしました。ISO 5区域のスモークスタディは、設定やルーチンの作業を含めた条件に不十分な点が見られたとのことです。

例えば、ストッパーの除去などの介入操作がなかったので、影響が評価できない状態でした。

 

<メディアフィルの欠陥>

ここでの具体的な指摘は、3例ありました。

 

a.メディアフィルの記録によると、有効なバイアルを除去していました。例えば、キャッピングステーションでの停電のシミュレーションで、停電前にキャッピングしたバイアルを却下していました。

b.無菌工程室に入ることができる職員全てが、少なくとも年1回、メディアフィルに参加することを、手順書に規定していませんでした。

c.培養後のユニットの検査をする職員の訓練と適格性評価をするための手順がありません。この検査がどのように実施されるのか、指示されていません。さらに、どの職員が検査したのかの記録もありませんでした。

 

2.説明できない不一致や矛盾の調査をしていませんでした。(21 CFR 211.192)

2015年10月から2017年3月にかけて、○バイアルに関する約140件の苦情がありました。この会社は、バイアルのストッパーを根本原因と特定しました。そして、ストッパーを交換したようです。この欠陥は、使用期限の間、製品の複数の品質特性に影響する可能性があります。

ここでの問題は、長期間にわたって苦情が発生しているということでしょう。調査がタイムリーに実施されていないという指摘事項です。

 

3.適切な環境モニタリングシステムを確立していませんでした。(21 CFR 211.42(c)(10)(iv))

無菌工程領域の環境モニタリングが不十分であると指摘されています。FDAの視点は、作業中に能動的なエアーモニタリングをしていなかったという点です。