FDA Warning letter(#540675):受託試験施設(米国);微生物試験

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、アメリカの契約試験施設です。

この会社は、2007年5月、2009年5月、2012年12月、2014年3月の査察で同じことを指摘されています。また2007年7月25日に警告書も発行されました。しかし、指摘事項は改善されず、再発しています。

指摘は、1)微生物試験; 2)教育訓練; 3)試験機器のメンテナンス不良; 4)データインテグリティに関する項目です。

この4項目の中から、今回はトップにリストされている「微生物試験の欠陥」について紹介します。


WL#: case #540675
日付: 2018年8月29日
対象会社: Pharmaceutical Laboratories and Consultants、Inc.(アメリカ)
査察期間:2017年9月18日~10月10日
GMP違反:4項目
掲載サイト:

https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm620002.htm


 

<指摘事項の解説>

1.この会社は、コンポーネント、容器、栓、中間製品、ラベル、医薬品の規格、サンプリング、試験手順を含む試験室管理を確立していませんでした。(21 CFR 211.160(b))。

不適切な試験法のバリデーション

顧客のOTC医薬品および成分の試験に使用する微生物限度試験手順と試験法の信頼性を保証するための、科学的データが欠けていました。たとえば、試験法の再現性をバリデートしていませんでした。試験法は、USP<61>と<62>でなく、これらの試験法と同等であることを示すデータを持っていませんでした。

さらに、P. aeruginosa, E. coli, S. aureus, C. albicans, Clostridium sp., Salmonella sp.および胆汁体制グラム陰性菌の試験法を持っていませんでした。Clostridium sp.を試験していましたが、嫌気性培養をしていませんでした。さらに、微生物試験に必要な培地、バッファー、環境も整備されていませんでした。

不適切な培地

この会社は、培地や実践が微生物試験に適していることを保証するための適合性試験を持っていませんでした。

例えば:

この会社は、調製した培地の品質管理試験を実施して、試験中の培地性能を保証していませんでした。pH、培地性能試験などの、品質特性に関する調製培地の品質管理試験を含む、プログラムがありませんでした。この会社の施設は微生物は保管されておらず、微生物試験を実施するための試験菌株と特定微生物がありませんでした。また、試験菌株の購入記録も確認することはできませんでした。

インキュベータ内には、乾燥してひび割れた平板が入っていました。

(..)φ;もちろんこのような培地では、正しく検出することはできません。ここでFDAは、1平板あたり15-20mlの培地が必要だとアドバイスしていますので、伏せ字の部分は培地の量を述べていたものと思われます。すなわち、培地が足りないということですね。

陽性コントロールの欠如

この会社、微生物試験で陽性コントロールを使用していませんでした。したがって、試験結果の信頼性が保証されていません。試験中に陽性コントロールを使用しない場合、試験結果は有効とすることはできません。