FDA査察の第2版出ました

山岡尚志先生執筆の「FDA査察 良い結果を出すためのポイント~査察の実態を学ぶ~」第2版が出版されました。先生は、本の「はじめに」にも認めている通り、FDA査察だけでも34回経験しています。私は、この手の本の筆者として、日本で先生ほど適任の方はいないと信じています。

この本は、実務書と位置づけてよいと思いますが、先生の洞察力で経営面や管理面についても触れている点で、思想書と言えないこともありません。個人的には、経営陣向けの内容をもっと入れてほしいと思いますが、この本の趣旨からは、これ以上の紙面を割くわけにはいかないことも理解できます。

この本は第2版ですが、初版で触れていない点も多く入っており、付録の"IOM"は、2017年の"Chapter 5″が日本語訳されています。充実した1冊だと思います。

本の内容は、営業妨害になりますから、これ以上触れないことにします。とにかく、この辺りを事業領域としている私にとっては、良い本だと思います。まず、手にとって読むべき本といえます。

ここからは自分の意見ですが、この頃は"PIC/S GMP"が注目を浴びているため、興味がヨーロッパ(EMA査察やQP監査)に偏っているような気がします。FDAのCGMPはヨーロッパ諸国のGMPsのお手本であり、FDA査察を理解しておくことは、ヨーロッパの査察や監査への対応力を高めるために、とても有益であると思います。また、FDAはEU諸国とMRAを交わすとはいえ、日本に来たときにはFDAのCGMPに基づいて査察するわけで、決してPIC/S GMPやEU GMPで査察はしません((“..)φ;断言してはいけませんね。しかし私の海外の友人たちもそのように言ってますので、まあ間違いはないと思います)。

過去数年、FDA査察がそれほど厳しくない時がありました。過去のトレンドから「こんなものだろう」と思って失敗しないよう注意したいです。厳しい時とそうでない時が交互にやってきます。FDA-483 は、普段のCAPAに比べて非常にコストが掛かるものです。気を抜かずに対応したいものですね。やさしいFDA査察に慣れてしまった方にはぜひ手にとってほしい本です。

蛇足ですが、「EMA査察」とか「QP査察」という本が日本で出版されたとしても、内容的にこの本を凌駕するものにはならないでしょう。「じほう」さんの営業妨害になっちゃったかな?ごめんなさいm(_ _)m 断言しちゃいましたが、「…と、個人的には思っています的な…」を付け加えておきます。(^_^;)